DoDreamレッスン日誌:イベント
「広瀬香美との出会い・その2」(T.J.)
2009年 10月 08日
広瀬との音楽制作は非常に楽しく、またぼく自身にとっても良い勉強になった。
当初、彼女は日本のポップスにおける多くの楽曲のアレンジが、
非常に多くの問題を抱えていると指摘していた。
最初は、いったい何を言っているのかよくわからず、
「何を生意気な事言ってんだ?」と思いつつ、ぼくは何故か反発めいたものを抱き
「そんなの聞いて気持ち良きゃ細かい事はどうでもいいんだよ!」って言ったりしていたが、
彼女の言う「和声」なるものを少し調べてみると、なるほど合理的かつ斬新な印象を受けた。
「もの事は、知らないで否定してはいけない。否定したいなら、知った上で考え否定する。
出来ない者が出来る者に反発して意見を言うのは負け惜しみ」
常々そう言い続けていた自分を思い返し、ぼくは彼女に頭を下げて和声を勉強した。
するとどうしたことか、今まで何とも気にならなかった日本の楽曲のアレンジが
気持ち悪い響きとして耳に飛び込んできた。
「そうか。そういうことか」
正に目から鱗。
当時、貧乏なぼくたちが所有するレコーディング機材と言えば、コルグのM-1が2台と、
TEACの4トラックカセットMTR。そしてヤマハのデジタルリバーブREV-7。
M-1を2台同期させれば、16トラック分のオケが作れるので、これは重宝した。
問題は4チャンネルカセットデッキである。
M-1のオケをL-Rに録音すると、残りは2トラック。そのうち1トラックは
広瀬のボーカルを入れるので、最後の1トラックに、ぼくのギターを録音する訳だが、
広瀬のハーモニーが入る箇所はギターを入れるトラックがない!ないのである!
よって、広瀬のハーモニーをかいくぐってギターのパートを録音するという、
実に肩身の狭いレコーディングとなる。
その当時の夢は、「8トラックのレコーダーがあればなぁ」だった。
そんな物買う金がない。
それこそ、その日の食費を心配しなくてはならない貧乏生活だった訳だから、
機材なんてとんでもない話である。
貧乏だった。
週に一度、彼女と一緒にランチに行くのだが、行く店のバリエーションは3つ。
Culver Cityにあるほか弁屋「あわや」の弁当でテリヤキチキン($2.99)
Inglewoodのハンバーガー店In-n-out($1.99)
そしてSanta Monicaのモール内ピクニックプレイスにある「WickiWickTeriyaki」の
アラスカロール(スモークサーモンの入った巻き寿司$3.99)
(ちなみに広瀬はどこのモールでも、フードコートの事を
ピクニックプレイスと言うのは、この時の名残だと思われる)
これでもぼくたちにとってはすごいご馳走であった。
特にアラスカロールは仮にもお寿司に違いなく、
まぎれもなく祖国日本の味であり、涙が出るほど嬉しい食べ物であった。
話が少々脱線した。
その頃、ぼくがLAで知り合った人に、喜多嶋修さんがいた。
彼は加山雄三さんの従弟で、女優・喜多嶋舞さんのお父さんであり、
米国では琴の奏者として有名で、雅楽と洋楽をミックスした斬新な作品を制作されていた。
その喜多嶋さんに彼女の作品を聞いてもらったのだが、
彼の第一声は「松田聖子を10倍上手にしたような感じだなぁ」であった。
(松田聖子さんが下手と言う意味ではないので誤解のないように。
当時、日本人歌手で歌が上手いとされている松田聖子さんを例えに出して、
広瀬があまりに上手すぎるという事を表現した言い回し)
喜多嶋さんに褒めてもらい、俄然勇気が湧いたぼくは、
以前にも増して彼女との音楽制作にのめり込んで行った。
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